Vol.6では「会話をするときのポイント」を 具体例と共にお伝えしました。 今回は、小さいころから身につけておきたい ライフスキルについてお伝えします。
体験を通して学ぶことの大切さ
年齢や障害の有無に関係なく、見たり聞いたり触ったりして体験したことは、そうでない場合よりも遥かに理解が進みます。特に幼少期は体を実際に動かして経験したことが、さまざまな発達への刺激となります。
〈公園で遊ぶ〉
〈ハサミやクレヨンを使って工作を楽しむ〉
〈家族のお手伝いをする〉
〈友達と遊ぶ〉
など、日常の何気ない出来事が、大切な発達の場です。
また、動物園や水族館、海水浴、ハイキングなど、その環境でしか得られない体験が、子どもの発達を更に活性化させてくれます。
小さいころから身につけておきたい力
発達に障害をもっていたり、不安を抱えていたりする子どもに、小さいころから取り組んでいただきたいことは、「ライフスキル」を身につけるための豊富な経験を日頃から積むことです。
読み書き計算のアカデミックスキルや対人関係のソーシャルスキルとは異なり、ライフスキルは「大人になって行う必要がある活動」を指します。例えば、買い物の仕方や公共交通機関の利用、料理や掃除、お金の管理、余暇の過ごし方などです。
発達障害の子どもは、実際に身体を使って経験すると理解が進みやすい特性があります。小さいころから実際に体験を重ね、ライフスキルを獲得していくことは将来の生きやすさにもつながります。
自分の実体験
私は視覚に障害をもって生まれました。両親は日頃から自宅や外出先でさまざまな体験を障害に関係なくさせてくれました。
中学生で、料理や掃除、裁縫や買い物など、大抵のことはこなせるようになっていました。
社会人になると同時に、一人暮らしをはじめました。誰もが感じる働くことの大変さはもちろんですが、視覚障害に伴う社会での不自由さに悩むことも多々ありました。
しかし、ライフスキルが身についていたおかげで生活面が安定していたこともあり、目の前の課題に落ち着いて向き合うことができました。
障害あるなし関係なく
ライフスキルは、障害に関係なく、どの子どもにとっても大切な力です。そして、その力を育む一番の体験の場が家庭です。特に就学前の子どもは、家族と一緒にさまざまな経験を積む時期なので親子のやり取りも大切になります。
前回お伝えした「会話のポイント」も参考にしていただきながら、ご家庭でのライフスキルアップにつながる体験がより一層有意義な時間になればと思っています。
【発達障害を知る vol.1】
発達障害って、どんなもの?
【発達障害を知る vol.2】
「障害」を見るのではなく「個(子)」を見よう
【発達障害を知る vol.3】
早期の発達支援(療育)が大切
【発達障害を知る vol.4】
疑いを感じたら
【発達障害を知る vol.5】
お子さんとの接し方
【発達障害を知る vol.6】
会話のときのポイント