昭和から、平成、令和と三つの時代を、結婚、出産、子育て、仕事と生き抜いた女性からいただく言葉は、まさにオンナゴコロにクロスする言葉ばかり。シリーズでお届けします。
ゲスト 結び屋ゆいく 公認講師 齋藤のりこさん
子育て風呂敷術・手ぬぐい活用法を教えていう結び屋ゆいくの公認講師。
助産師資格を持ち、プロの着付師でもある。
風呂敷を教えることになったきっかけ
佐藤 今のお仕事を始めるきっかけを教えてください。
齋藤 何かを始めようと思ったことが始まりです。
ちょうど、娘の大学卒業が近づいていました。
「娘が巣立ってしまったあと、私はどうしたらいいだろう…。このままだと、空の巣症候群になるのではないか」と思っていたのです。
何か自分でやらないとだめになってしまう…と。
そんな時、風呂敷を子育ての便利グッズとして使う方法を、ママ向けに教えている智田さくらさんと運命的な出会いをします。
元々風呂敷って普段から使っていたし、なじみがありました。
私は元々助産師なので、根底の中には「世の中の母と子どもを守っていきたい」という思いがあり、風呂敷で子どもを包むって、母が子どもを守ることと一致するなぁと思えたんですよね。
着物も好きで、布で包む、という部分で共通する布。
そんなきっかけで風呂敷がとても気になっていたところ、さくらさんが私に声をかけてくれました。
自分が空の巣症候群になりそうなお話などをしていたら、さくらさんの方から「一緒に風呂敷を広める仲間になりましょうよ!」と誘ってくれて。
「私もさくらさんのお手伝いをしたい!」と思い、第二子を妊娠しながら活躍するさくらさんをお手伝いしながら、自然に風呂敷の使い方を教える仲間となっていたのです(笑)
そしてだんだん講師もさせていただくことになっちゃったの♪
佐藤 すごい自然にお仲間になっていたのですね!
風呂敷を伝えるチーム【結び屋ゆいく】の誕生
齋藤 さくらさんに誘われて、私と、デザイナーの竹内みきさんの3人で【結び屋ゆいく】は始まりました。
佐藤 ゆいくの立ち上げのメンバーになるのですね!
齋藤 そうなんです。そして風呂敷は日本の伝統文化だから広げていかなければいけないと思うんです。
ママたちに伝えていけばお子さんに通じるし、その子どもが大きくなり、ママになっていく。
だからママに伝えておけばずっと繋がっていくと信じて頑張って、風呂敷講座を続けていました。
そのうちに風呂敷ファンもできて、忙しくなってきました。
ゆいくのメンバーも増えていき、講師も増えていきました。
佐藤 現在は結び屋ゆいくのメンバーは何名いらっしゃるんですか?
齋藤 今は11人にまで広がりました!
札幌に8人。旭川に1人、苫小牧に1人、そしてさくらさんは千葉に住んでいます。
佐藤 みなさん、どういう活動をしているのですか?
齋藤 メンバーは、まさに今育児中の現役ママが多いので、実際に風呂敷を子育てに活かした自分たちの写真をSNSに投稿したりブログを書いたり、さまざまな情報発信をしています。
また、アナログでは子育てと風呂敷を応援するフリーペーパーを作って、全国に3万部配布した実績があります。
最近では、その実績が買われてママ目線で使いやすい風呂敷を京都の風呂敷メーカーさんとコラボで作ったりしています。その風呂敷は、京都市のふるさと返礼品にもなっているんですよ。
佐藤 のりこ先生は普段どういう活動をしているのですか?
齋藤 私はほとんどは風呂敷の講座をしています。
1枚の布がこうなる、という話だけではなく、風呂敷の歴史や、風呂敷を包む時に一番大事な「真結び」のお話をしたり。
子育てに便利な風呂敷の使い方として、
授乳の時に使える授乳ケープ、こどものエプロン、赤ちゃんが座る時に押さえるためのチェアーベルト、抱っこ紐のカバー、等の作り方などを教えています。
もし、買い物の時、袋が足りなくても風呂敷1枚あれば、精算済みのカゴに敷いてすぐに持ち帰ることができ、しかも洗えて清潔なエコバックに変身します。
抱っこ紐を忘れた日に、赤ちゃんが「だっこ〜」と騒いだら、ぱっと風呂敷を広げて風呂敷スリングに変身させて抱っこもできます。
風呂敷1枚持ち歩けば色々使えるんですよ!
あとママ向け以外にも、実は大学からのご依頼で「留学生向け日本体験」として風呂敷の連続講座を担当しているんです。
お陰様で2015年1月から継続的に、年に2〜3回のペースで行っています。
佐藤 とてもステキな体験ですね!
齋藤 はい!風呂敷の歴史とか、包み方を教えました。伝統的な包み方から、風呂敷バッグや、ギフトラッピングなどです。
佐藤 留学生はとてもびっくりするでしょうね!
齋藤 すっごい喜んでくれて!みなさん国を代表して来ている、真面目で頭の良い、かわいい子たちばかりでした。
フランス、ロシア、中国、台湾、韓国など各国から。
2020年1月に最後の留学生が来ていて、最後に台湾の子が、「留学終って帰っても、新型コロナウイルスが完全に収まるまでは来られないから、まだいたい!」と泣いてしまって…(涙)
「とっても楽しかった!」と言ってもらえて私も感動してもらい泣きしちゃいました。
今はコロナで開催できないのですが、また落ち着いたら実施できることを楽しみに待っているところです。
さくらさんがご主人の転勤でインドに行かれたときも、「日本人会」というのがあって、そこで風呂敷を教えていました。
佐藤 風呂敷は国際交流のひとつになりましたね。
着物が好きな理由
齋藤 私は来年還暦なんですよ(笑)
佐藤 私ものりこ先生みたいになりたいです。いつもステキに着物を着こなしていますよね!
齋藤 私の親が着物の仕立て屋をしていたので、それを見ていて、着物いいなぁ~と思っていたのにもかかわらず、当時は反発して逆に着物を着ませんでした。
母は60で亡くなったのですが、その時に財産として着物をたくさん譲り受けました。
それをどうしようかなーと思いながら少しづつ着て楽しんでいました。
それが着物を着る様になったきっかけです。
その後は少しづつリサイクルの着物がある事を知り、安い着物を探したり、洗える着物を探したり、自分のすきな着物を集め始めました。
実は今日の着物はポリエステルでできていて、洗えるんですよ!
佐藤 すごくかわいい着物ですね!
齋藤 雨の日とかにもすごくいいし、洗濯機で洗えるんです♪
そして安いので、カジュアルに楽しく着ることができるんですよ~!
そして実はいま頭に巻いているのも風呂敷なんです!
佐藤 えーーー!どうやって巻いているんですか~?すごくステキです!
齋藤 簡単なんですよ!97cm四方の風呂敷です。ちょっとやってみませんか~?
佐藤 やりたいです!
齋藤 たたんで頭に巻いて挟み込みます♪

佐藤 いつも風呂敷は何枚持っているんですか?
齋藤 5枚は持っています。心配性でなんでも持って歩いちゃう(笑)
佐藤 最近は防災用にも1枚持っているといいですよね。
齋藤 台所にある調理用ボウルをつつんでヘルメットにしたり、レジ袋を入れると水が運べたりするんですよ!
子育てママに対する思い
佐藤 特に子育てママに風呂敷広まるといいですね。
齋藤 普段もママたちは子どもを抱えて、何キロも体に負荷がかかりながら買い物もしていますよね。
そんなママたちの助けになるのがこの風呂敷なんです。
1枚あればさまざまな育児グッズの代用品として使えますので、普段重いママバッグの中身も、軽くなります。
とにかくママたちをラクにしてあげたいと思って、風呂敷の便利な使い方を広めています。
荷物の大変さだけでも解消してあげたい。
それはちょっとしたことなんだけど、少しでも楽にしてあげられたら嬉しいです。
そしてママたちの笑顔が続くように。元気に子育てができるように。
これから伝えていきたいこと
齋藤 着物も、風呂敷も布を使った日本文化です。
それを現代風にアレンジして着こなすのも楽しいです。
帽子をかぶってみたり、中にセーターを着たり、
カジュアルに着こなすことも提案しています。
佐藤 風呂敷も含めて、日本文化を伝えていくことが大切なんですね。

聞き手 佐藤 明子(Sachi&Aki co.)

ありがとうの花束 Sachi&Aki co. 代表。
ありがとうを伝える直筆、ポストカードの専門店。
起業して11年目。カウンセラーとしてお客様のお話を聞き、絵書家kouhiに伝える役目。
★お知らせ★
定山渓鶴雅リゾートスパ森の謌2階 「森の美術館」にて、”三つの時代を輝き続けるオンナたちの言葉展”(仮タイトル)開催中!ありがとうの花束作家kouhiが、シリーズ取材の女性から感じ取った言葉を、直筆書きおろしで書に表した作品を展示します。お楽しみに♪